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● 1996/04
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この本は、李文烈(イー・ムニヨル)の長編小説『*******[ハングル字] (ひとの子)』の全訳である。
けれども、『ひとの子』という表題だけでは内容を想像する手がかりになりにくいことを考慮して、著者の諒承のもとに「神に挑む者」とサブタイトルを付した。
著者の李文烈は、今日日の韓国文学を代表する小説家の一人である。
そして『ひとの子』は、李分烈が文壇にデビューして間もなく発表された、彼の最初の長編小説である。
李文烈は1979年正月、韓国の新聞各紙が行ってきた新春恒例の文芸作品募集の中の、<東亜日報>のそれに中篇『塞下曲』が当選して文壇にデビューした。
それから半年後の6月に上梓して第3回「今日の作家賞」を受賞し、話題をさらったのが『ひとの子』である。
この小説は、初版を出してからおおよそ7年後の1987年1月に増補改訂されたが、それ以来、1993年6月までのおおよそ6年半の間に27刷りされた。
そしてそれをもとに、昨年の秋、つまり1995年秋には、パリでフランス語訳が出版された。
このたび日本で出版されるこの訳本もやはり、同じ版をテキストとしたが、李文烈は日本で反訳、出版されるこの本のためにさらに念入りに改訂と修正を加えている。
小説の増補改訂というのはほほどの事情でもないかぎり、滅多にないことである。
『ひとの子』に対してそれがなされたというのは、よほどの事情があったことになるわけだが、著者が次のように説明しているその理由を知ることも、この作品を理解する助けになると思われたので付け加えておく。
1996年3月11日 安宇植
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【習文:目次】
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