2010年2月9日火曜日

: アメリカ発世界大不況:2005 start


● 2002/07



 経済問題について全般的に眺めてみよう。

 アメリカの全般的な景気後退(リセッション:recession)は一段と激しくなっている。
 アメリカの景気はやがて回復するだろう、と平気で新聞にコメントするエコノミストたちがいる。
 経済学者(景気予想屋)というのは、どうしてこうも無定見な人が多いのだろう。
 請け売りしかできない日本の経済学者ならしかたがないとしても、アメリカの立派な経済学者たちでさえモゴモゴやっている。
 アメリカ現代理論経済学が近代学問(モダン・サイエンス)であるかも、怪しいのである。

 アメリカの景気も大きな流れとして悪化しつつある。
 とくに東海岸は明らかに戦争経済に入っている。
 「戦争で不景気を吹っ飛ばせ」である。
 アメリカはこの景気の悪さを、国防、軍需産業による需要と求人で補っているに過ぎない。
 アメリカ政府にとっての最大の公共事業は軍需産業なのである
 国防軍需産業に巨額の財政資金(2002年度の国防予算は3750億ドル、50兆円である)をつぎ込むことで、国内景気を刺激して、かろうじて「景気は回復しつつある」という虚勢を張っているにすぎない。
 従来から指摘しているように、2005年くらいから、「世界大恐慌」が起きるという筋書きが当たるのではないかと思う。

 アメリカは軍需に頼らなければ景気を持続できない国になっているのだ
 次期主力戦闘機を新たに3000機(150億ドル、2兆円分)製造発注すると政府が発表した。
 世界軍縮があるべき時代に、どうして3000機もの最新鋭戦闘機を作らねばならないのか。
 やはり経済重視、景気対策としか考えようがない。
 戦争特需で景気全体を支えるしか、もはや手がないという冷酷な人間社会の現実を無視することができない状況なのである。

 中国とは挑発(プロポケイション:provocation)すれば、国威と面子にかけて、それに敢えて乗ってくる国である。
 この辺からも紛争は起こそうと思えば起こせる
 軍事衝突を避けようとせずに、かえってこれを自分たちの勢力拡大のチャンスと考える中国人民解放軍の軍人たちはたくさんいるのである。
 軍歴を持たない文官政治家たちの言うことを聞かない毛沢東主義の軍人たちが勝手に動き出して戦闘状態になる可能性は、常に存在している。

 中国は、いまだに「中国共産党」という共産主義者が支配する国であり、国民普通選挙制度(政党政治、民主政治)を実現していない国である。
 中国共産党というのは、その成立の過程から考えて、端的にいって

 きわめて古くさい親分子分関係が今も生きている、中国古来の農村出身のならず者たちによる、古代から連綿と続く軍閥の要素と重なりあって出来た特異な人間集団

である。
 
 また、北朝鮮は米軍の激しい空爆によって瓦解されるだろう。
 北朝鮮に先に手をださせておいてから叩き潰すという、いつもの戦略を使うだろう。
 アメリカのシナリオはもう出来上がっているとみたほうがいい。
 それが、アメリカの景気回復に繋がるということである。
 ただし、この北朝鮮の最終処理案が実現するには、一つだけ乗り越えなければならないハードルというか、仕事がある。
 在韓米軍3万7千人を北朝鮮のミサイル攻撃等から守るために安全な場所に、前もって撤退させておくことである。
 在韓米軍はソウルの北、板門店の南側に駐留している。
 この在韓米軍というのは極東向けの陸軍部隊である。
 日本に駐留する在日アメリカ軍4万8千人は、海兵隊と空軍がほとんどである。

 在韓米軍は密かに撤退を開始するだろう
 いや、すでに開始している。
 アメリカ兵のほかに、基地周辺に住む家族がいるから、その数は10万人を越える。
 民間人まで避難させるとなると20万人に膨らむのではないか。
 今のアメリカでは、自国民が政治紛争に巻き込まれて死ぬことが一番嫌われている。
 たとえ生命の危険が当然の軍人であっても、海外に駐留するアメリカ兵がまとめて100人も死ぬとなれば、とたんにアメリカ国内に厭戦気分が広がる。
 アメリカ兵一人の命に対して、アジア人の価値は1/1000と、かって計算されていた。
 今、米軍は何とかしてフィリッピンに駐留基地を建設したいと思っている。
 それは、ミンダナオ島であろう。
 ここには「アブ・サヤーフ」というイスラム過激派の反政府ゲリラがいる。
 どうもアメリカ政府は、国際テロ集団と認定したアブ・サヤーフの鎮圧を表面上の理由にして、ミンダナオ島に大きな基地をつくろうとしているらしい。
 フィリッピンを新しい戦略要衝にしようという計画のようである。

 撤退が完了したときに北朝鮮で新たな展開が始まる可能性が大きい。
 「戦争で不景気を吹っ飛ばせ」である。







 【習文:目次】 



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