2010年2月23日火曜日

: 備蓄

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● 2006/04



 日本経済は、1970年代の石油ショック時と比べ、原油の高騰に対して強くなっている。
 石油危機を契機に、日本経済は重化学工業化による経済成長から組立加工型の経済成長へと、「重厚長大」から「軽薄短小」へと、省エネ・省資源化を進め、その後もしっかりとその体型を維持しているのがその理由である。
 例えば、日本の原油輸入量は、1980年の「2億5400万キロリットル」から現在までほとんど増えていない。
 この間、実質GDPは「240兆円」から「500兆円」へと2倍になっている。
 また円ドル為替相場も、過去25年で240円から120円へと2倍にきり上がっている。
 それだけ安く原油を買えるようになっているわけである。
 また、171日分の備蓄もある。
 消費者の不安心理に対しても、あらゆる情報が公開されているため、消費者がパニック買いに走る状況にはない。
 日本経済は、世界のどの国よりも省エネ・省資源の優等生になったのである。




 IEAはOECD諸国に対して「91日分」の備蓄を韓国している。
 アメリカは、民間企業に備蓄義務はないが、エネルギー省によるSPR(戦略的石油備蓄)が約7億バレルある。
 これは、年間消費量の7カ月分に相当する。
 イギリスは142日、ドイツは90日、フランスは95日分である。
 日本の場合は、石油備蓄法に基づき90日分の石油備蓄を策定、国家民間備蓄を義務づけており、それがあわせて171日分になっている。



 アジアでは、国家備蓄制度があるのは韓国だけであり、その他の諸国は民間の石油会社による在庫が備蓄を兼ねている状況である(その後、中国は2005年末より、石油備蓄制度をスタートさせている)。
 年間ベースでみた備蓄日数は20日~40日程度で、その性格も運転在庫が大半となっている。
 国家備蓄は財政面での負担を考えると難しい。

 中国はもとより世界経済は、「高い原油価格を前提とした新しい成長モデル」を構築しなければ、もはや持続不可能になっている。
 このような認識で一致すれば対応すべきことは明らかである。
①.原油生産能力の拡大に向けた上流部門への効率的な投資の拡大
②.代替エネルギーの開発
③.省エネ社会や環境に優しい社会構築にむけての研究開発・設備投資および製品・サービス投資の促進である。

 原油価格が、2倍、3倍のレベルで高止まるということは、企業にとっては大変なコストアップであるが、見方によっては様々な代替エネルギーの開発が行われ、エネルギー選択肢社会が訪れるということである。
 原油価格が40ドルを超えて長期的に高止まるとすると、カナダのタールサンド(砂岩質油層)、ベネゼイラのオリノコ河に眠る超重質油、などの非在来型資源の開発が可能になる。
 さらに、天然ガス、原子力、GTL(ガス・ツー・リキッド:天然ガスや石炭、重質油などから一酸化炭素を水素に転換し、触媒で分子構造を組み替えてつくった環境に優しい軽油)、DME(ジ・メチル・エーテル:天然ガスや石炭、重質油から合成する無職透明のガス)、バイオエタノール(サトウキビやトウモロコシなどの植物を発酵させて製造)、燃料電池(水素と酸素の反応で電気を取り出す)などの代替燃料の開発にも弾みがつく。









 【習文:目次】 



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