2010年2月15日月曜日

★ 日本の競争戦略:戦略とオペレーション効率


● 2001/05[2000/04]



 企業がすぐれた業績を達成し続けるためには「戦略」と「オペレーション効率」の両方が不可欠である。
 オペレーション効率は、企業が卓越した業績を追及する2つの方法の1つでしかない。
 もう1つは戦略になる。
 オペレーション効率とは、同じかあるいは似通った活動を競合他社「よりもうまく」行うことを意味する。
 戦略の中核は、事業で競争する上で必要な活動を競合他社とは「異なるやり方で」行うことにある。

 日本企業は、オペレーション効率においてはるかに先行していたため、生産性のフロンテイアを規定した。
 生産性のフロンテイアとは、「ある時点においてある産業に」存在するベスト・プラクテイスの集大成である。

 1970年代と80年代において日本企業は、生産性のフロンテイアを多くの欧米企業の能力を超えた新しいレベルに押し上げた。
 しかし、1980年代の半ばから後半にかけて、日本企業と欧米企業のオペレーション効率の格差は狭まりはじめた。
 ベスト・プラクテイス(高品質)とは、早晩ライバルによって模倣されてしまうものである。
 最も一般的なオペレーションの改善、たとえば汎用性の高い経営手法、プロセス技術や投入資源の改善は、最も早く他者に普及する。
 よって、ベスト・プラクテイスを脇目もふらずに徹底的に追求することによって、同じ産業内のすべての業者が同じ次元での競い合いが起こり、競争の収斂という現象を生み出す。
 ベンチマーキングを実施すればするほど、企業は似通ってくるのだ。
 そして、そこからは真のイノベーション(技術革新)が生まれることはない。

 オペレーション効率による決定的なリードを失った日本企業にとって競争の収斂は大きな苦痛をもたらすことになる。
 競争の収斂は、全体からみると重複した投資や過剰な生産能力を生み出す傾向につながるからだ。
 競争に対する日本企業のアプローチは、競争業者間の違いをなくすだけでなく、産業全体の収益性を阻害することになる。
 競争は価格競争になり、収益性は悪化する。

 継続的改善の積み重ねは戦略ではない。
 競合他社の模倣や同じ手法を少しばかり上手に行うことは戦略とは呼べない。

 要約すると、すべての顧客に対して、すべてのものを提供しようとすることは、戦略のアンチテーゼである。




 【習文:目次】 



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