● 2009/06[2009/01]
『
体内で働く酵素を大別すると2つある。
①.消化酵素
②.代謝酵素
「消化酵素」は食べ物を分解する働きをするもので、一連の消化・吸収のすべてのプロセスに関わっている。
「代謝酵素」は臓器や組織の細胞内で、栄養素の作り替えや臓器の修復などにたずさわっている。
人の体では3千種類以上の代謝がおこなわれているが、どれも酵素がなければ成立しない。
消化酵素も代謝酵素も、体内で生産されるが、無尽蔵に作られるわけではない。
あらかじめ遺伝子に組み込まれた生産量というものがあるらしい、という説が有力である。
酵素の一番の働きどころはどこかといえば、「消化」である。
消化の際に、酵素はふんだんに必要とされる。
消化作業が過酷になればなるほど、消化酵素、そして消化酵素をつくりだすためのエネルギーが消費される。
その結果として、一方の代謝酵素はパワーダウンを余儀なくされる。
臓器や組織、細胞の修復にかわる代謝酵素が十分働けなくなれば、それらに不具合が起きるのは必然である。
自然界の生き物は本能的にこのことを知っている。
例えば、ケガをした動物たちは、一切のエサを口にせず、静かにじっと回復の時を待つ。
人は病気になると「栄養のあるものを食べろ」というが、これは明らかに間違っている。
病気のためにただでさえエネルギー生産力は低下している。
そこで食べ物を食べたら、回復どころか、体はさらなるダメージを受けてしまう。
消化という作業は莫大なエネルギーを要するのである。
動物たちは「食べない」ことで生命力を高め、それがケガを克服する最良の方法だということを知っている。
本能のなかに「断食力」の何たるかが、刷り込まれているのである。
「病気になったら食べてはいけない」、
のである。
消化とは最大のエネルギー消費作業であると同時に、生物にとって「もっとも大きなストレスをかける」ものなのである。
代謝酵素のパワーを高めるには、消化作業を休み、あるいは軽減する必要がある。
消化に「完全休養」を与える断食が最良策であるが、「食べすぎない」ということもかなりの有効策といっていい。
このことからも、
消化とは最大のエネルギー消費作業であると同時に、生物にとって「もっとも大きなストレスをかける」ものなのである。
代謝酵素のパワーを高めるには、消化作業を休み、あるいは軽減する必要がある。
消化に「完全休養」を与える断食が最良策であるが、「食べすぎない」ということもかなりの有効策といっていい。
このことからも、
「朝食は食べてはいけない」。
食事の原則が、
「一日三食、しっかり食べること」
だと信じて疑わない人は多い。
「朝ごはんをしっかり食べなさい」
と言われた経験のない人は、まずいないだろう。
さて、これは正しいのか?
先に答えをあきらかにしまえば「ノー」なのだ。
朝食は食べてはいけない。
なぜかといえば、消化は多大のエネルギーを必要とするのに、朝方はまだ内臓がよく動いていない。
朝は、内蔵を休ませるべき時間なのである。
江戸時代には朝食は食べなかったし、中国では極めて消化のよい粥しか朝食にはならなかったのである。
「牛乳は飲まないほうがいい」。
いくら牛乳を飲んだところで、骨のカルシュウムを充実するということはない。
乳糖を分解する酵素はラクターゼと呼ばれるものだが、日本人は生後一年ほどで離乳が進むと、しだいにラクターゼの働きが弱くなり、成人ではほとんど分泌されなくなる。
成人になってもラクターゼを持っているのは北欧系の人に限られる。
よっていくら牛乳を飲んでも、カルシウムは吸収されず、無駄に排泄されるだけである。
逆に、牛乳というものは骨を強くするどころか、脆くしてしまう危険をはらんでいる。
タンパク質を多く含む牛乳は、体内で「酸」を生じやすい。
ガブガブ牛乳を飲むと、体が「酸性」に傾き、「脱灰」という現象が起こるリスクを高める。
骨や歯のカルシュウムが血液中に溶け出しやすくなる。
骨が脆くなっていくのである。
2年間毎日牛乳を2杯飲み続けた女性と、まったく摂取しなかった女性を比較した、極めて興味深いデータも発表されている。
これによると、牛乳を飲んだ女性は、飲まなかった女性の2倍のスピードで「骨量」が減っているという。
牛乳は、骨を強化するどころか、反対に脆くするのである。
断食したとき、体の中では何が起こっているのだろうか。
食べ物からエネルギーを摂取できなくなると、体内の栄養素からエネルギーをつくり出す作業が開始される。
まず、その材料として使われるのが、肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲン。
これはすぐにブドウ糖に変えられる。
その次に、グリコーゲンがなくなると、やはり肝臓に一定量プールされていたアミノ酸からブドウ糖をつくる。
このアミノ酸が尽きると、いよいよ「自己犠牲」がはじまる。
その最初の標的になるのが、筋肉。
筋肉を分解してアミノ酸の形に変え、肝臓に送り込む。
肝臓はそのアミノ酸を原料にブドウ糖をつくり、血中に供給して、最低限の血糖値を維持しようとする。
次に使われるのが脂肪組織だ。
脂肪はグリセロールと脂肪酸が組み合わさってできている。
このうちのグリセロールが肝臓でブドウ糖に作り変えられ、エネルギーとして燃やされる。
こうしたアミノ酸やグリセロールをブドウ糖に変えるシステムを「糖新生」と呼ばれる。
一方の脂肪酸は、糖新生には使われない。
肝臓に贈られた脂肪酸は「ケトン体」というものに作り変えられ、最終的にはやはりエネルギーとして利用される。
このようにして、人の体はさまざまな物質(栄養素)が動員されてエネルギーになることで、食を断っても何日かは生きることが可能になっている。
』
【習文:目次】
_
食事の原則が、
「一日三食、しっかり食べること」
だと信じて疑わない人は多い。
「朝ごはんをしっかり食べなさい」
と言われた経験のない人は、まずいないだろう。
さて、これは正しいのか?
先に答えをあきらかにしまえば「ノー」なのだ。
朝食は食べてはいけない。
なぜかといえば、消化は多大のエネルギーを必要とするのに、朝方はまだ内臓がよく動いていない。
朝は、内蔵を休ませるべき時間なのである。
江戸時代には朝食は食べなかったし、中国では極めて消化のよい粥しか朝食にはならなかったのである。
「牛乳は飲まないほうがいい」。
いくら牛乳を飲んだところで、骨のカルシュウムを充実するということはない。
乳糖を分解する酵素はラクターゼと呼ばれるものだが、日本人は生後一年ほどで離乳が進むと、しだいにラクターゼの働きが弱くなり、成人ではほとんど分泌されなくなる。
成人になってもラクターゼを持っているのは北欧系の人に限られる。
よっていくら牛乳を飲んでも、カルシウムは吸収されず、無駄に排泄されるだけである。
逆に、牛乳というものは骨を強くするどころか、脆くしてしまう危険をはらんでいる。
タンパク質を多く含む牛乳は、体内で「酸」を生じやすい。
ガブガブ牛乳を飲むと、体が「酸性」に傾き、「脱灰」という現象が起こるリスクを高める。
骨や歯のカルシュウムが血液中に溶け出しやすくなる。
骨が脆くなっていくのである。
2年間毎日牛乳を2杯飲み続けた女性と、まったく摂取しなかった女性を比較した、極めて興味深いデータも発表されている。
これによると、牛乳を飲んだ女性は、飲まなかった女性の2倍のスピードで「骨量」が減っているという。
牛乳は、骨を強化するどころか、反対に脆くするのである。
断食したとき、体の中では何が起こっているのだろうか。
食べ物からエネルギーを摂取できなくなると、体内の栄養素からエネルギーをつくり出す作業が開始される。
まず、その材料として使われるのが、肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲン。
これはすぐにブドウ糖に変えられる。
その次に、グリコーゲンがなくなると、やはり肝臓に一定量プールされていたアミノ酸からブドウ糖をつくる。
このアミノ酸が尽きると、いよいよ「自己犠牲」がはじまる。
その最初の標的になるのが、筋肉。
筋肉を分解してアミノ酸の形に変え、肝臓に送り込む。
肝臓はそのアミノ酸を原料にブドウ糖をつくり、血中に供給して、最低限の血糖値を維持しようとする。
次に使われるのが脂肪組織だ。
脂肪はグリセロールと脂肪酸が組み合わさってできている。
このうちのグリセロールが肝臓でブドウ糖に作り変えられ、エネルギーとして燃やされる。
こうしたアミノ酸やグリセロールをブドウ糖に変えるシステムを「糖新生」と呼ばれる。
一方の脂肪酸は、糖新生には使われない。
肝臓に贈られた脂肪酸は「ケトン体」というものに作り変えられ、最終的にはやはりエネルギーとして利用される。
このようにして、人の体はさまざまな物質(栄養素)が動員されてエネルギーになることで、食を断っても何日かは生きることが可能になっている。
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【習文:目次】
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