_
● 2010/03/10
『
GDPとは国で1年間に作り出された財とサービスの価値から、それを作るのに必要とされる原材料(中間生産物)の価格を差し引いたものをいう。
ハリウッドの対策が日本ではヒットしない現象が起こっている。
日本で何が起こっているのか。
日本経済は1989年に株価がピークをつけて以降、極端な金余り現象がバブル経済の崩壊となり未曾有の長期不況、いわゆる「失われた10年」に突入する。
この長い停滞期間に、日本人の心の中からは、アメリカに盲従する機運が失われていった。
1990年代のバブル崩壊による景気後退の中で、日本人の物欲は急速に衰え、生活様式が様変わりした。
長い低迷気を経て、物質文明への欲求は弱まり、変わって精神文化が成熟していった。
「失われた10年」の中で、
日本は物質文明の国から精神文化の国へと転換
を図り、文化の質が劇的に変化した。
精神文化への傾斜で、アメリカ文化の長所短所を素直に評価できるようになった。
こうした動きはアジアのなかでも日本だけにみられる現象となった。
アジアの他の国々は、まだ「モノへの欲求」が強く、
物質文明を追い求めている段階にある。
「web2.0」現象とは何かと問われれば、百万人単位で人を集まることを可能にしたことだ、と答えよう。
21世紀を特別にしているのは「大衆が創る文化」と「ネットワークによる知性の時代」ということだ。
このような大衆文化の登場が、わずか20年間に起こった。
社会のさまざまな場面で大衆が参加し、大衆の嗜好や意思が社会を動かす機械が増えている。
こうした現象を「クール革命」と名づけよう。
ポストweb2.0の恩恵で人々は気軽につぶやいて、自由に情報発信できるようになった。
大衆地震がコンテンツを作り、公開することでウエブ空間に「巨大知」が形成され、巨大知はリアルタイムの情報発信が増えるにつれてさらに肥大化しつつある。
インターネットの情報は玉石混淆である。
役に立つ情報、面白い情報というのはわずかで、ほとんどは無用で無意味なノイズのような情報だ。
しかし、巨大知は圧倒的な情報量にこそ価値があるのだ。
有りのままの情報を知ることで判断の分岐点になる可能性もある。
質が高いか低いかは関係ない。
「大衆が素直な感想を発信している」ことに大きな意義があるのだ。
気づいてみると日米の大手家電メーカーは、「ソフトウエア会社の下請け」になっている。
googleはリアルタイム検索の価値がわからなかった。
固定化された知識と評価の高いサイトの情報にこだわりすぎたためだ。
グーグル検索から生まれる「集合知」で圧倒的にリードしていても、巨大知がもたらす情報価値は理解を超えていた。
』
『ブラック・スワン』(ナンシー・ニコラス・タレブ著、望月衛訳、ダイヤモンド社刊)
著者はありえないこと、極端な現象を「ブラック・スワン現象」という。
著者は「拡張」可能か、不可能かを区分する。
一定労働した後は勝手に収入が増える仕事は拡張可能であり、
収入を増やすためには新たに時間を費やして仕事を増やさなければならないのは拡張不可能
というのだ。
アメリカ経済は、アイデアを生み出すことに勢力を注ぐ。
その結果として製造業の仕事は減り、同時に生活水準は上がっている。
アメリカはかって世界史上に存在したことがない「知財国家」に近づきつつあるのかもしれない。
見えているものから予測したり、見えていないものを推測することは容易にできる。
黒い白鳥に振り回されることはないし、歴史もジャンプしない。
』
【習文:目次】
_