2010年7月19日月曜日

★ マチュピチュ 天空の聖殿:はじめに:高野潤

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● 2009/07



 15世紀に入ってから急激に勢力をのばしたインカは、16世紀はじめに北は現コロンビア南部から南はチリ、アルゼンチン北部まで領土を拡大した。
 だが、1533年、北ペルーのカハマルカで、フランシスコ・ピサロらスペイン人征服者たちびよってアタワルパ皇帝が処刑される。
 そのとき、帝国は実質的に崩壊したものの、以後30年間、祖先の血を受け継いだ皇帝たちは、マチュピチュの奥地に位置するビルカバンバ地方の城や砦にたてこもってスペイン人に抵抗し続けた。

 本書は、インカの始祖伝説にはじまり、マチュピチュにつながる山岳地のインカ道を歩き、奇跡というべきマチュピチュの都市そのものへと話が進んでいく。
 マチュピチュがどのような性格を持つ城であっったのか、インカは何を求めて建設したのか、あるいは実際にどのような生活があって、いつごろ放棄されたのか、などについて、通い続けても解けない疑問を軸にしながら記したものである。

 遺跡をはじめ、ケチユア語の地名は多い。
 それらのすべてがインカ時代から残されたものとは限らないが、周辺の自然や環境を説明している場合が多いため、簡単ではあるがカッコ内に意味をつけ加えた。
 また、内容の必要性から欠かせなかった部分には、私と既著と重なる箇所も含まれるが、すべてにおいて新しい主題に基づいて構成した。
 それぞれの読者の方が本書を手にしながら、「失われた都市マチュピチュ」をはじめとした数々のインカの大仕事、また、インカの大地や天空の世界へと夢をふくらませていただけたらと思う。




















 【習文:目次】 



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