2010年2月9日火曜日

★ 世界覇権国アメリカの衰退が始まる:副島隆彦


● 2002/07



 そもそも正義とは何か。
 今の学者たちに聞いても、明解な返事を得ることはできない。
 「正義とは何か」についての極めて簡潔な定義を、たいしたインテリでもないごく普通のイギリス人から、昔、ロンドンで教わった。
 本当に驚いたことだが、平均的なイギリス人から明解な答えが返ってきたのである。
 彼、いわく、「正義とは」、

①.神や宗教に関わらないこと
②.学問的事実(scientific facts サイエンテイフィック・ファクト)に関わらないこと
③.そのうえで、俗世界のことに関して「善悪の判断」を下すこと。

 これが、「正義である」と。
 つまり、宗教家でない世俗のひとである裁判官(judge)が、俗世界(現実世界)での争そいにおいて、「Aさんが悪いから謝れ」とか、「Bさんのほうが300万円賠償金を支払え」とか判断する、これが正義というのである。
 そのあとすぐに英語辞書やら法学書やらを開いて、正義とは何かについて確認した。
 そうしたら、まさに彼のいうとおりだった。
 私は日本の大学で法学教育を受けたが、「正義とは何か」の定義一つ誰からも習わなかった。
 日本の大学の教師で、「正義とは何か」を世界基準できちんと知っている人はいないだろう。
 
 日本人は、ごく当たり前の「冷酷な事実(facts)」だけで物事を組み立てることができない。
 こういう理解の仕方を、日本では学者たちでさえできない。
 そこが日本の最大の弱点だ。
 知識人が知識人ではない。
 「正義」のような素朴な言葉の定義一つできない。
 「正しいこと」という以上の言葉を知らない。
 明確な定義から諸事実を組み立てる思考方法がない。
 この弱さが、「日本という国の弱さ」だとしみじみ思う。




 【習文:目次】 




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