2010年8月8日日曜日

★ 脳がよみがえる断食力:朝と病気には食べるな:山田豊文


● 2009/06[2009/01]



 体内で働く酵素を大別すると2つある。

①.消化酵素
②.代謝酵素

 「消化酵素」は食べ物を分解する働きをするもので、一連の消化・吸収のすべてのプロセスに関わっている。
 「代謝酵素」は臓器や組織の細胞内で、栄養素の作り替えや臓器の修復などにたずさわっている。
 人の体では3千種類以上の代謝がおこなわれているが、どれも酵素がなければ成立しない。
 消化酵素も代謝酵素も、体内で生産されるが、無尽蔵に作られるわけではない。
 あらかじめ遺伝子に組み込まれた生産量というものがあるらしい、という説が有力である。

 酵素の一番の働きどころはどこかといえば、「消化」である。
 消化の際に、酵素はふんだんに必要とされる。
 消化作業が過酷になればなるほど、消化酵素、そして消化酵素をつくりだすためのエネルギーが消費される。
 その結果として、一方の代謝酵素はパワーダウンを余儀なくされる。
 臓器や組織、細胞の修復にかわる代謝酵素が十分働けなくなれば、それらに不具合が起きるのは必然である。

 自然界の生き物は本能的にこのことを知っている。
 例えば、ケガをした動物たちは、一切のエサを口にせず、静かにじっと回復の時を待つ。
 人は病気になると「栄養のあるものを食べろ」というが、これは明らかに間違っている。
 病気のためにただでさえエネルギー生産力は低下している。
 そこで食べ物を食べたら、回復どころか、体はさらなるダメージを受けてしまう。
 消化という作業は莫大なエネルギーを要するのである。
 動物たちは「食べない」ことで生命力を高め、それがケガを克服する最良の方法だということを知っている。
 本能のなかに「断食力」の何たるかが、刷り込まれているのである。

 「病気になったら食べてはいけない」、
のである
 
 消化とは最大のエネルギー消費作業であると同時に、生物にとって「もっとも大きなストレスをかける」ものなのである。
 代謝酵素のパワーを高めるには、消化作業を休み、あるいは軽減する必要がある。
 消化に「完全休養」を与える断食が最良策であるが、「食べすぎない」ということもかなりの有効策といっていい。

 このことからも、
 「朝食は食べてはいけない」
 食事の原則が、
 「一日三食、しっかり食べること
だと信じて疑わない人は多い。
 「朝ごはんをしっかり食べなさい」
と言われた経験のない人は、まずいないだろう。
 さて、これは正しいのか
 先に答えをあきらかにしまえば「ノー」なのだ
 朝食は食べてはいけない。
 なぜかといえば、消化は多大のエネルギーを必要とするのに、朝方はまだ内臓がよく動いていない。
 朝は、内蔵を休ませるべき時間なのである
 江戸時代には朝食は食べなかったし、中国では極めて消化のよい粥しか朝食にはならなかったのである。

 牛乳は飲まないほうがいい
 いくら牛乳を飲んだところで、骨のカルシュウムを充実するということはない。
 乳糖を分解する酵素はラクターゼと呼ばれるものだが、日本人は生後一年ほどで離乳が進むと、しだいにラクターゼの働きが弱くなり、成人ではほとんど分泌されなくなる。
 成人になってもラクターゼを持っているのは北欧系の人に限られる。
 よっていくら牛乳を飲んでも、カルシウムは吸収されず、無駄に排泄されるだけである。
 逆に、牛乳というものは骨を強くするどころか、脆くしてしまう危険をはらんでいる。
 タンパク質を多く含む牛乳は、体内で「酸」を生じやすい。
 ガブガブ牛乳を飲むと、体が「酸性」に傾き、「脱灰」という現象が起こるリスクを高める。
 骨や歯のカルシュウムが血液中に溶け出しやすくなる。
 骨が脆くなっていくのである。
 2年間毎日牛乳を2杯飲み続けた女性と、まったく摂取しなかった女性を比較した、極めて興味深いデータも発表されている。
 これによると、牛乳を飲んだ女性は、飲まなかった女性の2倍のスピードで「骨量」が減っているという。
 牛乳は、骨を強化するどころか、反対に脆くするのである。

 断食したとき、体の中では何が起こっているのだろうか。
 食べ物からエネルギーを摂取できなくなると、体内の栄養素からエネルギーをつくり出す作業が開始される。
 まず、その材料として使われるのが、肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲン。
 これはすぐにブドウ糖に変えられる。
 その次に、グリコーゲンがなくなると、やはり肝臓に一定量プールされていたアミノ酸からブドウ糖をつくる。
 このアミノ酸が尽きると、いよいよ「自己犠牲」がはじまる
 その最初の標的になるのが、筋肉。
 筋肉を分解してアミノ酸の形に変え、肝臓に送り込む。
 肝臓はそのアミノ酸を原料にブドウ糖をつくり、血中に供給して、最低限の血糖値を維持しようとする。
 次に使われるのが脂肪組織だ。
 脂肪はグリセロールと脂肪酸が組み合わさってできている。
 このうちのグリセロールが肝臓でブドウ糖に作り変えられ、エネルギーとして燃やされる。
 こうしたアミノ酸やグリセロールをブドウ糖に変えるシステムを「糖新生」と呼ばれる。
 
 一方の脂肪酸は、糖新生には使われない。
 肝臓に贈られた脂肪酸は「ケトン体」というものに作り変えられ、最終的にはやはりエネルギーとして利用される。
 このようにして、人の体はさまざまな物質(栄養素)が動員されてエネルギーになることで、食を断っても何日かは生きることが可能になっている。





 【習文:目次】 



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