2010年11月29日月曜日

★ 冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見:中国

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● 2007/05[2003/11]



 中国人は朝から晩までよく働く。
 そればかりか収入の30%以上を貯蓄や投資に回す。
 それにひきかえ私たちアメリカ人はたったの「1%」だ。
 中国経済の成長がアメリカ経済よりも速いのは、彼らがよく働き、よく貯蓄するからなのだ。
 中国では貯蓄は非課税である。
 アメリカでは政府が二度、三度と課税するので皆、貯蓄をしないのだ。

 北京でのある晩、通訳の袁夫妻と夕食に出かけた。
 5歳になる息子も一緒だったが、この子は出された食事にほとんど手をつけなかった。
 両親は別に気にしているふうでもなかった。
 子どもがデザートを3つ食べると言い出したときでさえ、袁は驚かなかった。
 ペイジと私は何かの冗談なのかと思ったが、袁も奥さんも、息子の言うとおりに注文した。
 「袁さん」ペイジはいった。
 「私の両親は、デザートが一つすむまでは絶対に次のデザートを注文しませんでしたわ」
 私がこんな話をするのは、別に甘やかされた子どもが面白いと思うからではない。
 一般的に中国の子どもたちはほとんど、「どうしようもなく甘やかされている」、ということを言っておきたいからだ。

 これは、1980年に始まった、中国の「一人っ子政策」の後遺症である(公式に終わったのは2002年だ)。
 一人っ子や長子は通常賢く、根性があり、他の子供より成績がよいという研究がある。
 そしてもちろん、甘やかされることが多い。
 中国は国じゅう一人っ子ばかりだ。
 自分の子は特別であり、より賢く、より根性があり、より高い成績をあげる。
 すべての親がそう信じている(また、別の男の子は女の子よりも大事にされるという、よろしくない風潮もある)。
 こうした「特別な」子どもの世話をし、彼らに最高の教育を受けさせたいという親の気持を先取りして、中国全土に誕生したのが私立の学校である。
 私立学校の設立はある種のブームにさえなっていた。
 若くて起業家精神のある先生たちが、これまで中国には見られなかったことを始めていた。
 金儲けがしたいなら、中国に行って私立学校のチェーンを越せばいい。

 中国は歴史上とりわけて好戦的な国でもなかった。
 今後はこの国はこれまで以上に戦争に消極的になるだろう。
 兵士になるべき若者が全体として甘やかされ、それぞれが一人っ子としてさらに甘やかされているからというのではない。
 子どもが一人しかいない人たちは、その子やたった一人の孫を戦争に送るのをためらうからだ。





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