2012年3月31日土曜日

★ ヒントのヒント:あとは自分のアタマで考えよ!!:日下公人・堀紘一

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● 1997/06/25



 経営学の基本は金勘定ではない。
 「環境認識をどうするか」ということと、その環境に合った組織体をどう構成するかである。
 うまく機能している組織は、環境が変わらない限り反映する。
 動物は困難な環境に直面して、より生存しやすい形・状態に変化する。
 それによって環境に適応し、さらに環境変化の中で生き残っていく。
 それが「進化論」の教えるところである。
 進化する動物の陰で、もはや完全に環境に適応してしまって、それ以上の進化を失ってしまったのが下等動物である。
 日本経済を取り巻く環境は確実に変化している。
 変革しえなかった前時代の企業は、分解リサイクルさせていただくのがいちばんいい。

 日本における組織学・経営学の元祖は徳川家康である。
 彼は環境を固定し、その環境に合う組織を作った。
 環境を固定するには何をすればよいかを考えた。
 まず、彼は新しいものを持ち込んでくる南蛮・紅毛、すなわち西洋というものに不安を感じた。
 新しいものが入ってくることによって環境が変わることを恐れた。
 それが鎖国となる。
 鎖国が完成するのは家康の没後のことであるが、それを準備したのは家康である¥。
 もう一つ、経済力のある人間が出ることに危惧を持った。
 経済力のある人間を作らないようにする。
 徳川にとって経済力のをもたれては困るのが諸大名である。
 諸大名の経済力を抑えこむために参勤交代の制度を作った。

 15代将軍慶喜のときの日本の人口は三千万人です。
 家康の時代の人口も三千万人
 およそ260年の歳月を経て、ものの見事に経済力が同じなのである。
 この国の限られた国土から得られる食料エネルギーの量は限定されている。
 食料エネルギーの量は「人口」を規定します。

 固定的環境で暮らせば、人々は固定的な味方に陥る。
 既存の味方、慣習に頼れば自分自身で考えずにすむ。

 アメリカの経営学は移民を集めた労働市場と量産品を求める市場の上に立つ大企業を前提にしている。
 人間管理のコツは軍隊から学んでいる。
 それは、巨大な軍事組織を管理するための方法を基礎にしている。
 よって小規模事業経営に応用するには少なからず無理がある。
 中小企業では仕事の内容はすぐ変わる。
 そのような中小企業の経営は、学問として扱いにくいから学校では取り上げようとしない。







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