2010年11月29日月曜日

: 韓国、女が足りない、女を求めて北朝鮮へ

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● 2007/05[2003/11]



 韓国に入って最初に受けた印象は、なんと近代的で豊かな国なんだろう、というものだった。
 どの指標で計っても、この国は世界で20位以内に入る裕福な国である。
 一人当たりのGDPはインドの8倍、北朝鮮の15倍にもなる。
 これだけでも驚異的な成功といえる。
 1965年には、あの北朝鮮でさえ韓国よりは裕福だったのだ。

 韓国の成功とそのスピードの速さは、アメリカ国防省によるところが大きい。
 たかだかインデイアナ州やハンガリーより少々大きいほどの国土に、優れた高速道路網と37にものぼる軍事基地を建設したのだ。
 20世紀後半の間、米軍は何十億ドルものお金を韓国に投じ、韓国の社会経済を閉ざしてきた独裁政権を支えてきた。
 韓国の保守主義は群を抜いて強く、中期的には韓国に大きな恩恵をもたらした。

 韓国の保守主義は侮辱以外の何ものでもない。
 韓国に入ってほとんどすぐに気づくことは、ソニーもシボレーも、トヨタの車さえもまったく見かけないことである。
 何でも皆、韓国製なのだ。
 上海で出会った韓国に住んで働いていたことのあるビジネスマンは中国で働くほうがずっといい、何でも手に入るから、と言っていた。
 韓国ではそうはいかない。
 工場で何かが必要になると、国内でそれをつくってくれる人を探さなければならない。
 たしかに韓国では王様のような暮らしができるが、王様がほしがりそうなものはほとんど手に入らない。

 韓国の繁栄は似非であり、それなりの犠牲の上に成り立っている。
 マスコミがなんと言おうと、韓国に住んだり、韓国でビジネスを始めるのはやめたほうがいい。
 投資するなんて論外だ。
 手厚く保護された韓国企業はどんどん大きくなる。
 そして傲慢にもなる。
 彼らは自分たちが世界中で一番優秀だと思い込み始めるのだ。
 「我々は日本と競争していける」
と、胸を張る。
 だが、彼らが日本企業と競争できるのはただ日本企業が韓国にはモノを売れないからに過ぎない。
 アメリカでテレビを売り、ヨーロッパで車を売っているうちに、韓国企業は天狗になり、西欧の銀行と同じくらい素晴らしいとニュヨーク・タイムズに書き立てられて、それを信じるようになる。
 彼らは自分たちが経済的に守られていることに気づいていないのだ。

 状況は変わりつつある。
 国の指導者の一部は今、韓国を外の世界に向けて開くという公約を果たそうと努めている。
 しかし、依然として韓国は時刻軽座を保護している。
 私が韓国への投資を控えるのはそのためだ。
 この国が本当に厳しい競争に直面するなら、それは難しいテストになる。
 韓国企業がこのテストを生き延びるとは思えない。

 韓国は、北と東に山岳部、南に平野部を持つ。
 人工は南に集中している。
 4,600万の人工のうち、1/4が非武装地帯から30マイル(約50キロ)南のソウルに住んでいる。
 しかし、この国がいま直面している重大な人口問題は、人口の過密が発生しているかどうか、ではなく、「どのような形で」発生しているかである。
 私たちが韓国に到着したもは5月で、ちょううど学校の休みが始まったところだった。
 ピクニックや家族での外出のシーズンだ。
 子どもたちをたくさん見た。
 何処へ行っても子どもが集まってきた。
 そして、女の子はとても少なかった。

 有史以来、母なる自然はほぼ「51%対49%」の割合で、男の子を多く産んできた。
 ところが、よく知られているように世界の人口統計では男より女のほうが多い。
 おそらく、それだからこそ男の生まれる確率が高くなっているのだろう。
 戦争とか交通事故とかで、男のほうが若くして死ぬ確率が高い分、出生率の差で埋めようとしているのだ。
 しかし、全体としての出生率の差はたかがか「2%」である。
 韓国で女の子が比較的少ないことに気づいた私は、このことを聞いて回った。
 すると、最近韓国では12歳の男の子120人に対して、同い年の女の子の数は100人しかいないことがわかった。
 「54.5%対45.4%」で、この差は2桁(約10%)に近く、通常の5倍である。

 最近まで人類は、子どもをできるだけたくさん作ろうという家族計画でやってきた。
 昔の農耕を中心とする社会では、そうすることで家族の働き手を確保するとともに、年を親の面倒を見てきた。
 こうした行動は、その時代の高い死亡率を補うためにも必要だった。
 今日では世界中で人々が、文化的あるいは経済的な理由から意図して子どもの数を抑えている。
 これは歴史上、初めてのことだ。
 多くの国が独自の理由で、たとえば人口爆発を回避するよう社会変革を目指し、出生率を抑制しようとした。
 最近まで中国はそういう政策をとっていた。
 中国の「一人っ子政策」は、実際には「男の子一人っ子政策」であった。
 第一子が女の子で、親が30歳を超え、最初の子どもが生まれてから8年以上たっていれば第二子をもうけることが許されていた。
 「3人目の子どもを作ること」はいかなる条件の下でも許されなかった。

 韓国では、夫婦は個人的な理由で子どもをあまり作らなくなっていた。
 彼らは政府に言われたからではなく、自分たちの意思で子どもを持たなくなった。
 それでもその結果は、中国の男の子117人に対して女の子100人という出生率とほぼ同じだ(54%対46%)。
 最初に男の子が生まれたら、それでおしまい。
 男の子がいる家がもう一人作った場合、第二子のニ人に一人は男の子だ。
 これだけでも男女比に影響がでる。
 最初に女の子が生まれたら、もう一人作ってみる。
 第二子が男の子なら、そこでストップする。

 こんなことを続けているとどうなる。
 1000年前、前の千年紀(ミレニアム)がはじまる頃、ヨーロッパでおなじようなことが行われていた。
 理由はいろいろあったが、基本的には女の子は経済の足かせだとみなされたためである。
 人口構成上、男のほうが女よりも多かった。
 そうなると。突然、女の子は貴重になったのである。
 性欲の塊ともいえる19歳の男の子は、何か優れたものをもっていないと幸運にはあずかれなかった。
 だから、その時代には持参金を持たせたのは男の子の親のほうだったのである。

 今、12歳の韓国の女の子は10年ほどの間に、欲しい物は何でも手に入るようになったと気づくだろう。
 いまに中国のように、甘やかされたり、男勝りのジャジャウマが闊歩するだろう。
 連れて歩く男や夫が、十分ちやほやしてくれないなら代わりはいくらでもいる、ということになる。
 今後、彼女たちはいっそう独立心を高めるだろう。
 より高度な教育機会を与えられ、離婚率も間違いなく高まるだろう。
 すべての意味で太々的な社会変革が起きることになる。

 私の見た人口構成の変化は、朝鮮半島の再統一を考える上で重要な要因となる。
 韓国の男子が女子を求める場合、何処を探すだろうか。
 こういうときの事情はどこへ行っても同じで、彼らは同じ民族の女性と結婚したいと思うだろう。
 彼らが朝鮮民族の女の子を見つけられるのは「北朝鮮だけ」だ。





 【習文:目次】 



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